大奥

 

よしながふみ先生による大奥の感想 大奥を扱った漫画は多数ありますが、その中でもダントツで面白いと私が思ったのが、よしながふみ先生の描かれた大奥という漫画です。 有名な作品ですし、映画化もされていますが、実は私が読んだのは最近のことでした。面白いとは聞いていましたが、男女逆転の大奥と聞いて、正直陳腐なラブストーリーではないかと思っていたのです。が、読んでみて驚きました。恋愛漫画としても医療漫画としても逸品な内容だったのです。 三代将軍家光の時代、若い男子だけが感染する赤面疱瘡という奇病が大流行します。それは、感染すると、五人に四人が亡くなるという、恐ろしい致死率の病気でした。日本中で大流行したため、男性が過度に激減。社会を動かすのは女性になっていきます。もちろん、それは幕府も同じこと。最初は家光の死をごまかすために建てられた影武者の女将軍でしたが、まもなく公となり、代々女性が将軍となることに。大奥は子孫を残すために集められた男性のみで構成されていきます。そんな異常事態の中で起きる人間模様や恋愛模様、そして、赤面疱瘡撲滅のために動き出す蘭学者や医者たちの奮闘ぶりが描かれていきます。 男女逆転ながらも史実に添いながら展開していくストーリーも見事ですが、とにかくこの作者さんは、人間の美しさや醜さを描くのが非常に上手い。それぞれの将軍や周りを取り巻く人々の苦悩が生々しく描かれていて、どのラブストーリーも綺麗事では済まされていません。だからこそ、惹きつけられてやまないのでしょう。 また、赤面疱瘡撲滅のため懸命になる蘭学者やその弟子たちの奮闘、それを己の欲のため妨害する幕府の官僚たち、そして意外な支援者が現れついに打ち勝っていくまでの過程も、丁寧に描かれています。 いずれにしても、え?ていうかこれ、本当の話じゃない?と思うほど練り込まれたストーリーとなっています。このお話がどんな形で終焉を迎えるか、最後まで目が離せません。食わず嫌いでまだ読んでいない方は、是非とも第1巻を手にとってみてください。物語にひきこまれること、間違いなしです。

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