凪のお暇
マンガ大賞2018にもランクインした話題の人生リセットコミック、コナリミサトさん作「凪のお暇」の感想です。 主人公の凪は「空気を読みすぎる」あまり、周囲と同調し自分の意見がいえないアラサーOL。 そんな彼女の唯一の支えであった、エリート営業・慎二の心無い一言をきっかけに、過呼吸におちいってしまいます。 仕事も恋もすべてリセットし、人生の「お暇」をとることを決意しました。 そんな凪が自分を変えようともがく様子が共感を呼び、特に働き世代の女性に人気のコミックです。 可愛らしい絵柄でありながら、多くの人が感じたことのある現代病をリアルに描写していて、読むたびに気持ちがえぐられる気分でした。 空気を読みすぎるあまりに過呼吸になってしまう、皮肉な伏線に心がぞわっとしました。 この作品の魅力は、いかにも漫画らしい展開ではなく、日々の暮らしに寄り添ったリアルさだと思います。 作られたイベントごとはなく、生活する中で感じる幸せや人の温もりが丁寧に描かれています。 そんな暮らしの中で、凪自身が良いほうへ成長し続ける訳ではなく、迷ったり悩んだりと葛藤する泥臭さに心動かされます。 また凪を取り巻く周囲の人も個性豊かで作品を大いに盛り上げています。 屈折した性格で自分だけの凪でいて欲しい元彼や、つかみどころがない魅力的な男性ゴンちゃん、 クールな鍵っ子うららちゃんなど、凪だけではなく登場人物の背景も丁寧に描かれています。 そんな彼らとの関わりあいの中で、リセット人生を一生懸命に歩む凪のこれからがとても楽しみです。